金利の上昇リスク
例えば、マイホーム資金に頭金を500万円(年間100万円×5年間)貯める間に金利に変動がなければ良いのですが、早く購入しておいた方がメリットがある場合もあります。下の表が頭金を貯めている5年間の間に固定金利が上昇した場合のシミュレーションです。
①フラット35(返済期間35年、金利1.85%、融資額3500万円)
金利 | 毎月 | ボーナス時 | 総返済額 |
1.85% | 7.7万円 | 19.7万円 | 3915万円 |
②フラット35(返済期間35年、金利2.35%、融資額3000万円)
金利 | 毎月 | ボーナス時 | 総返済額 |
2.35% | 8.2万円 | 21万円 | 4188万円 |
せっかく頑張って頭金(自己資金)を500万円も貯め、借入額が500万円も少なくなったにもかかわらず、金利が0.5%上昇しただけでも毎月の返済額・ボーナス時・総返済額がいずれも増加し、結果的に約270万円も損をするという逆転現象が起こってしまいます。
これに加えて、消費税の増税や住宅ローン減税の適用の有無などが影響すると、頭金を貯めるまで待っていた人が頭金を貯めずにマイホームを持った人よりもデメリットを受ける場合があるということがお判りいただけたと思います。
非常に家を建てる・購入するタイミングというものは難しいもので、お金の面から考えると、運が良い・悪いというのも状況によってあるのは仕方のないことです。
筆者自身も分譲マンションを購入した時期が1年早かったために、平成20年時から適用された住宅ローン控除額を住民税から控除する制度が受けられませんでした。制度の転換期で「平成19年および20年に家を取得して居住を開始する人は、住民税の住宅ローン控除は受けられません。」という決定にうなだれた経験があります。
頭金をいくら貯めるのが正解か?
では、頭金(自己資金)というものはいくら貯めるのが正解なのでしょうか?
実は正解がありません。貯められるだけ貯めておけば住宅ローンの借入額が少なく済みますので、無駄な利息を払う必要がなくなり、定年までには返済の目途が付くなどメリットはあると思います。
ただ、施主ご自身やご家族の状況がそれぞれで、何より土地建物の物件価格に差があることから、施主自身の特性及び物件金額によって準備すべき自己資金額が異なるというのが正直なところです。
すなわち、物件の金額が7000万円を超えるものと、4000万円未満の物件とでは掛かる費用も異なりますし、施主ご家族の状況も様々です。
これから高校、大学と教育費が嵩むお子さんが2,3人いらっしゃるご家庭と、未就学児のお子さんがお一人とでは家計に占める教育費負担の割合が全く違いますよね。
また、施主の年齢や収入によっても融資可能額も全く違います。
例えばフラット35の場合、年収360万円(返済期間35年、金利1.5%)で約3000万円ですが、年収900万円(同条件)であれば融資額が上限額8000万円まで拡大します。
そうすると、これだけ違う条件のなかで、頭金(自己資金)が「200万円は最低必要です。」と言ったところで余り意味のないことはご理解いただけると思います。
いくら頭金は必要?
ただ、そうは言っても、やはり現金として必要なものも多くあります。
絶対にないといけないかと言われれば、そんなことはありませんが、現金を準備していた方が間違いなく手続はスムーズに進みます。以下が主に現金で支払うものです。
- 手付金
- 住宅ローンの印紙税・事務手数料
- 抵当権設定登記手数料・司法書士報酬
- 引越し費用・不用品処分費用
- 火災保険料(10年又は5年分一括)
- 不動産取得税
- 初年度固定資産税
- 家具購入費(新調する家具一切)
- 家電購入費用(新調する家電一切)
- カーテン・ブラインド購入費用
- 日用品購入費用
- 挨拶回り手土産購入費用
- 町内会など自治会費
- 学校関係費用(転校に伴う制服、鞄、体操服など購入費用)
最後に
低金利が続く上に知識の乏しい営業マンがフルローンでも注文住宅で家が建つと吹き込むこともありますが、手元に金融資産がある場合は大丈夫ですが、無い場合はフルローンを組むのは破綻のリスクしかありません。
繰り返しになりますが、少しでも現金を貯めてマイホームを取得することをお勧めします。
↓家づくりのヒントになる面白いブログがいっぱいあります。