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マイホームを持つというのは一世一代のことでもあり、人生でそう何度も経験することではありませんから、ほとんどの人は頭金をいくら貯めたら良いのか、経験がないためネットのアンケート記事や友人・知人など周囲の人の経験談を参考にしています。
本当にそれで大丈夫ですか?大きな損はしていませんか?
参考にしている記事やご友人は、貴方様と同じ境遇(物件価格・年収・家族の状況・住宅ローンの金利等)でしょうか?
同じ条件でないのに、額面通りに受け取って行動してしまうと後々大変なことになる場合もあるので、自己資金の考え方や住宅ローンの借り方については、自分のこと・家族の状況を一番に考えて行動しましょう。
住宅ローン破綻予備軍
住宅ローンの金利は過去に例が無いほど、超低金利であり、頭金0円のフルローンでマイホームを持てる時代です。
しかし、「変動金利型」の住宅ローンをフルローンで組んでいる人は、収入が右肩上がりに増えなければ、非常にリスクが高い、いわゆる住宅ローン破綻予備軍であることは肝に銘じておかなければなりません。
時々、変動金利の仕組みを理解しておらず、景気が悪くなれば金利も下がると楽観的に考えている方もいますが、このマイナス金利政策の中で変動金利で借りた住宅ローンの金利は上がることはあっても下がることはほとんどありません。
つまり、融資実行時の基準金利(短期プライムレートを基に決められている)から借主の職業や年収等の特性を基に優遇幅分(例「基準金利-1.5%~2.5%」)が差し引かれて適用金利(例「0.525%」)が決められているのです。
そうすると、基準金利は変わらないため、優遇幅がいくら拡大しても対象者は新規の借主です。
優遇幅が拡大しても基準金利は下げないので、借りるときが勝負なのです。
既に融資を受けている人は対象にはなりませんので誤解のないように。
今はマイナス金利政策の影響で基準金利も長らく変わっていませんが、経済動向次第で適用金利が上昇するリスクは借主が負担しなければなりません。
そのため、収入が不安定な場合や年次昇給が見込めない業種の場合は、金利が上がってしまうと、未払い利息が増えて元本が減らず、いずれ返済に窮することになりますので、金利上昇リスクに備えて繰上げ返済の準備を行うなど対策を講じる必要があります。
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貯めてから買うことのデメリット
しかしながら、「1000万円貯まったらマンションを買おう。一戸建てを建てよう。」とマイホームを持つことを待つのも経済状況や家賃との関係次第ではデメリットがあるということも考えておかなければなりません。
つまり、現在の借家の家賃が家計の中で占める割合がどのくらいで、かつ、貯金が目標額に達成するまでに掛かる期間がどのくらいか、その際に現在と比較して住宅ローンの金利がどのくらい上昇するかの3点が肝になってきます。
また、国の政策である住宅ローン控除は現在のところ、「2021年12月31日までに自己の居住の用に供した場合」と期間の制限がありますので、その恩恵にあずかるためには要件に該当するように住居を取得しなければなりません(消費税の減税に伴い救済措置が取られる予定ですが、取得時期によっても適用の有無が変わります)。
家賃負担
現在のお住まいが社宅のように他の賃貸物件より格段に安かったり、家賃補助として一定額が勤務先から支給されるということであれば、家計に占める家賃負担の心配もなく、順調にマイホーム資金を貯めることができると思います。
その場合は、頭金を貯めずに家を持つよりも頭金をある程度貯めてから購入した方が家賃負担が少ないため待つことにメリットがあります。
しかし、例えば、月給が30万円程度で家賃が12万円以上のご家庭であれば、家計に占める家賃の割合が3割を超え、しかも家賃だけで年間140万円が消えるため、生活を切り詰めなければ頭金(自己資金)用の貯蓄が思うようには貯まりません。
そうすると、それだけの金額を家賃に支払い続けるよりは、ある程度の自己資金が貯まった段階で早目にマイホームを持った方が金銭面におけるメリットはあると言えます。
金利の上昇リスク
例えば、マイホーム資金に頭金を500万円(年間100万円×5年間)貯める間に金利に変動がなければ良いのですが、早く購入しておいた方がメリットがある場合もあります。下の表が頭金を貯めている5年間の間に固定金利が上昇した場合のシミュレーションです。
①フラット35(返済期間35年、金利1.85%、融資額3500万円)
金利 | 毎月 | ボーナス時 | 総返済額 |
1.85% | 7.7万円 | 19.7万円 | 3915万円 |
②フラット35(返済期間35年、金利2.35%、融資額3000万円)
金利 | 毎月 | ボーナス時 | 総返済額 |
2.35% | 8.2万円 | 21万円 | 4188万円 |
せっかく頑張って頭金(自己資金)を500万円も貯め、借入額が500万円も少なくなったにもかかわらず、金利が0.5%上昇しただけでも毎月の返済額・ボーナス時・総返済額がいずれも増加し、結果的に約270万円も損をするという逆転現象が起こってしまいます。
これに加えて、消費税の増税や住宅ローン減税の適用の有無などが影響すると、頭金を貯めるまで待っていた人が頭金を貯めずにマイホームを持った人よりもデメリットを受ける場合があるということがお判りいただけたと思います。
非常に家を建てる・購入するタイミングというものは難しいもので、お金の面から考えると、運が良い・悪いというのも状況によってあるのは仕方のないことです。
筆者自身も分譲マンションを購入した時期が1年早かったために、平成20年時から適用された住宅ローン控除額を住民税から控除する制度が受けられませんでした。制度の転換期で「平成19年および20年に家を取得して居住を開始する人は、住民税の住宅ローン控除は受けられません。」という決定にうなだれた経験があります。
頭金をいくら貯めるのが正解か?
では、頭金(自己資金)というものはいくら貯めるのが正解なのでしょうか?
実は正解がありません。貯められるだけ貯めておけば住宅ローンの借入額が少なく済みますので、無駄な利息を払う必要がなくなり、定年までには返済の目途が付くなどメリットはあると思います。
ただ、施主ご自身やご家族の状況がそれぞれで、何より土地建物の物件価格に差があることから、施主自身の特性及び物件金額によって準備すべき自己資金額が異なるというのが正直なところです。
すなわち、物件の金額が7000万円を超えるものと、4000万円未満の物件とでは掛かる費用も異なりますし、施主ご家族の状況も様々です。
これから高校、大学と教育費が嵩むお子さんが2,3人いらっしゃるご家庭と、未就学児のお子さんがお一人とでは家計に占める教育費負担の割合が全く違いますよね。
また、施主の年齢や収入によっても融資可能額も全く違います。
例えばフラット35の場合、年収360万円(返済期間35年、金利1.5%)で約3000万円ですが、年収900万円(同条件)であれば融資額が上限額8000万円まで拡大します。
そうすると、これだけ違う条件のなかで、頭金(自己資金)が「200万円は最低必要です。」と言ったところで余り意味のないことはご理解いただけると思います。
ただ、そうは言っても、どんな費用が現金払いで必要か未経験の方は分からないと思いますので、分譲マンションの購入とセキスイハイムで戸建てを新築した2回の経験から、以下の費目分は最低でも頭金(自己資金)として貯めておくことを強くお勧めします。
- 手付金
- 住宅ローンの印紙税・事務手数料
- 抵当権設定登記手数料・司法書士報酬
- 引越し費用・不用品処分費用
- 火災保険料(10年又は5年分一括)
- 不動産取得税
- 初年度固定資産税
- 家具購入費(新調する家具一切)
- 家電購入費用(新調する家電一切)
- カーテン・ブラインド購入費用
- 日用品購入費用
- 挨拶回り手土産購入費用
- 町内会など自治会費
- 学校関係費用(転校に伴う制服、鞄、体操服など購入費用)
最後に
低金利が続く上に知識の乏しい営業マンがフルローンでも注文住宅で家が建つと吹き込むこともありますが、手元に金融資産がある場合は大丈夫ですが、無い場合はフルローンを組むのは破綻のリスクしかありません。
繰り返しになりますが、少しでも現金を貯めてマイホームを取得することをお勧めします。
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