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注文住宅で戸建てを新築する場合に、新たに開発された分譲地で新築を検討することも多いと思います。
その際の宅地は、各ハウスメーカーの所有するもので、そのハウスメーカーで家を建てるという建築条件付が付いていることがほとんどです。
今回は、そもそも分譲地で家を建てる場合のメリットとデメリットをご紹介しますので、これから新たに開発された土地(再開発)を購入するという方は理解した上で大切な決断をしてください。
メリット
地域・立地の選択肢が豊富
大手のデベロッパー再開発事業として大規模な分譲地を整備する場合、大手のハウスメーカーが中規模・小規模の分譲地を整備する場合などがありますが、同じ県内複数のエリアから選ぶことができるというメリットがあります。
大規模分譲地になればなるほど、幼稚園や商業施設、大型ショッピングセンターやコンビニエンスストアの新規出店も期待されるなど利便性が高くなり、新しい街へと発展する可能性が大きくなります。
幹線道路、鉄道沿線や商業施設に近接している分譲地など、生活スタイルや将来の家族の進学や就職に伴うライフスタイルの変化を見据えて開発・整備された分譲地を選べるのは、一から土地探しをしなければならない労力を考えるとストレスや疲労を大幅に軽減できます。
街並みの統一感
分譲地の最大の目的は「トータルな街づくり」のため、その開発地全体でコンセプトを持たせていることが多いです。整然とした美しい街並みが魅力でもあり、計画的な開発によって道路幅を広くできるため街並みにゆとりが生まれます。
また、隣地との境界が確定しているため境界を巡る紛争リスクはほとんどありません。
インフラ整備
一般住宅地であれば上下水道・ガスなどの引き込みを行わないといけない場合がありますが、分譲地の場合は引き込まれており既に生活に必要なインフラは整備されているため、居住者による整備負担がありません。
また、出入り可能な道路も限定され、主に分譲地の居住者車が多く通行するため車による事故は減少します。
加えて、整備されている住宅地には不審者も近づきにくく、防犯面においても高い効果が期待できます。
都市計画に基づく環境整備
大規模分譲地は、現在の都市計画に基づいて整備されているため、道が狭い等の問題は少ないです。
分譲地内の道路は住宅街を通り抜けるような設計にはせずに入った道路に戻ってしまうように設計し、住人以外の車に抜け道として利用されないように工夫するしたり、車がスピードを出し過ぎないように車道を曲線にするなど、居住者本拠の配慮が各所になされています。
誰でも通行できる公道でありながら、実質的には住民専用の道路となるような道路計画が立てられています。
また、大規模な分譲地になれば、分譲地内に公園やテニスコート・グラウンドがが整備されるなどの住環境の向上が望める場合もあります。
良好なコミュニティが築きやすい
同じ時期に入居する世帯が多く、子育て世代が購入するケースが多いため、家族構成や境遇が似ていれば自然と良好なコミュニティを築くことができます。
子供たちは同じ小学校や中学校に通うことになるため、親同士も新しい付き合いも始まります。
子供たちの小学校への通学面を見ても、同じ分譲地から集団登下校となりますので、親も安心感を得られます。
仲介手数料が不要
一般宅地を自分で見つける場合には不動産仲介業者を通して購入することがほとんどですが、分譲地の場合には建築条件付き宅地をハウスメーカーから購入するため、この仲介手数料が不要になります。
手数料だけでも相当の金額が必要になるため諸費用を抑えるという点ではメリットがあります。
デメリット
隣地・隣家との距離が近い
ハウスメーカーは区画された土地を有効活用しようと当然に考えますので、必然的に家と家の距離は近くなります。
民法では、建物を建てるには、境界線から50cm以上離さなければならないという規定(民法第234条第1項)がありますので、最低でも建物と建物の間は1m以上の間隔をあけることになりますが、自分で探す一般宅地と異なって、隣家との距離は区画によってきめられているためどうしても近くなります。
そして、フェンスの高さも80cm~120cmと制限があるため、目隠しができない場合にはプライバシーが十分に守られているとは言い難いというデメリットがあります。
生活音にしても、子どもを叱る声や音楽や車のエンジン音などには配慮が必要です。
土地の広さに制限がある
分譲地の区間割りがなされた上で販売されるため、50坪〜60坪台の宅地が最初から決まっています。
境界を確定し、土地の広さも決まっていますので、「庭をもう少し広くしたい。又は、狭くしたい」などの希望を叶えることは困難です。
外構に制限がある
街並みの統一というメリットがある反面で、隣地との境界線の自己所有地内側に高さ80cmのフェンスを設けるなどの制限が多くあります。
門扉・門塀で囲った外構や目隠しフェンスなど設置できず、視界が通るオープン外構と指定されるケースも少なくありません。
早い者勝ちで値引きが難しい
一般宅地の場合は値引きが可能ですが、分譲地の場合には分譲地内での人気エリアから売れるため早い者勝ちになります。
また、売れ残りの区間以外は土地の値引きはほとんど期待できないでしょう。
このデメリットを克服して少しでも安く家を建てる場合には上物の建物その他設備の値引き交渉を上手に進める他に手段はありません。
建築条件付き宅地を購入する場合の値引き交渉については、前回記事を書いていますので、参考にしてください。
セキスイハイムの分譲地で家を建てる、建築条件付き土地を購入する事例は多く、先々予算オーバーやトラブルに繋がる事例もあるの…
入居後も周囲の工事が続く
大規模な分譲地では、複数のハウスメーカーや工務店が所有する建築条件付き宅地が販売されていますので、同じメーカーでも施主との契約の時期により工期は様々です。
また、分譲地内では注文住宅以外にも建売住宅も販売するため、至る所で建築ラッシュが続きます。
そして、大規模分譲地になれば第一期〜第〇期販売というように、一遍に全ての宅地を造成して家を建てるのではなく、エリアごとに開発していくということも少なくありません。
そうすると、居住する時期が早いと、建築ラッシュの中で新生活をスタートしなければなりませんから、ダンプカーやトラック、内装工事の音などが数ヵ月から1年近く続く場合もあり、穏やかで静かな生活がすぐに実現できるわけではありません。
最後に
以上のとおり分譲地を購入するメリットもあればデメリットもあります。
新しくできる街は、若い世代の世帯が多く活気がある一方で、数十年後には一斉に老朽化して高齢世帯が増えるというデメリットもあります。
分譲地のメリットとデメリットも自分自身が分かっていない中で一気に契約まで進んだので、これから検討される方、既に土地探しをしている方の参考になれば幸いです。
土地探しは不思議な「縁」があります。
その「縁」を大切にすればきっと希望の土地が見つかります。
家づくりのヒントになる面白いブログがいっぱいあります。