マンション売却・媒介契約の種類とリスク

マンションを高く売却するための不動産仲介業者との媒介契約の種類と注意点

依頼主
先日、内覧に来てくれたAさん、マンション気に入ってくれたかな?できれば2500万円即決で買ってくれないかな。アレ、営業さんから着信があったみたい。どうしたんだろう。
営業
依頼者様、折り返しのお電話有難うございます。先日内覧にお越しになった購入希望者のA様が物件を大変お気に召されたご様子で2200万円なら購入したいと仰っています。売却価格を2500万円からA様のご予算に合わせて2200万円に値下げするおつもりはありませんか?
依頼主
さすがに300万円も値引きするのはムリですよ。売却代金を新築資金の一部に予定しているんだから。営業さんの方で断って、2500万円で買ってもらえるように言ってもらえませんか。
営業マン
かしこまりました。ただ、注意していただきたいのは、価格交渉を断ることで、A様が購入を断念される可能性が高いということです。そうすると、このまま購入希望者が現れない場合は、今の2500万円から相当額を値下げして広告(チラシ・インターネット・情報誌)を出すことになります。例えば2300万円に値下げして再販売して場合、現れた購入希望者から値引き交渉が入ると、結果的に2000万円前後の価格まで下がる可能性もあります。そうであれば、A様の提示額で売却するのも賢い選択ですよ。
依頼主
確かにそれは困るな。早く売却できないと戸建ての計画も進まないし。どうしよ…。
営業マン
そうですよ。マンションを売却する時期が遅れると、戸建ての着工時期・引き渡し時期にも影響しますし、仮に2300万円に値下げをして広告を出しても購入希望者がいない場合は、さらに値下げをして2000万円以下での販売になります。そうすると、当初の予定よりも大幅に下がることになりますので、マンションの住宅ローンの残債を返済をすると、手元に残るお金も少なくなりますよ。2200万円で売却できた場合は残債を返済してもかなり余裕資金が残りますから、このチャンスを逃す手はないと思いますが、本当にお断りして宜しいですか?
依頼主
ちょ、ちょっと待って。分かった。家内にも相談してAさんに売却の方向で考えます。確かに早く売却できた方が気持ちも楽になるし、手元にもお金が残るから、2200万円でもいいかな。
営業マン
心の声:(上手くいった。後は予算2100万円のA様にも「依頼主様が2200万円なら売却意向です。あと100万円頑張れませんか?これを逃せば他の購入希望者の方に交渉権が移りますから、お決めになるなら最後のチャンスです。」と伝えて、100万円上乗せさせれば契約成立だ。)

 

マンションを1円でも高く売却したいと思って媒介契約を結んだ仲介業者ですが、100%依頼主の味方ではないということは肝に銘じておく必要があります

つまり、両手仲介が成約するために、依頼主と購入希望者の価格マッチングを仲介業者が操作している可能性もあり、本当に購入希望者の意向なのか、直接話さない限りは確かめる術が無いのです。

 

契約した仲介業者の営業担当は百戦錬磨のプロですから、これまでの成功体験から営業トークで不安な状態を継続させれば、依頼主が首を縦に振ることは分かっているのです。

ですから、営業トークに振り回されることなく、時間を掛けて家族で話し合うこと、再度、売却条件や新築マイホームの資金計画を振り返ることで、どこまで価格を下げることができるか冷静に考えることができます。

決して、即断・即答をしないように注意してください。

マンション売却・媒介契約の種類とリスク

 

目次

最後に

ほとんどの方が初心者である不動産取引において、現在の売主の状況を丁寧にヒアリングしたり、売却に至った事情や将来のプランを踏まえた希望を考慮した上で、依頼主に代って何が得策か、どのように売却を進めるのが最適化を提案するのが不動産仲介業者の存在意義だと思います。

相性もさることながら、プロとしての専門知識、細やかな気配りなどができる仲介業者の営業担当との出会いが非常に大切になってきます。

そして、本当に売主・買主それぞれの間に中立的な立場で対応しているのかを見極める必要があります。

どの媒介契約が良いのかはエリアや物件などによっても正解はないと考えます。売却できた後に「結果的に」専属専任媒介契約が良かったという結果論的な感想はあると思いますが。

しかし、今は情報過多の時代ですから、不動産売買に関する書籍やインターネット記事等は山ほどあります。しっかりと調べて知識を少しでも多く得て臨むことで、仲介業者の言いなりなるリスクは低減できると考えます。