専属専任媒介契約とは
売却活動の全般を1社に任せる契約です。他の仲介業者に重ねて仲介を依頼することは契約で禁じられています。
また、依頼者が自分で見つけてきた相手方についても依頼した仲介業者を通して取引することが義務づけられています。
このように専属専任媒介契約は依頼者に対して拘束力の強い契約のため、専属専任媒介契約で仲介依頼を受けた業務については、専任媒介契約同様に法的義務が課せられています。
(1)依頼者の利益が損なわれることのないように専任媒介契約の期間は3か月を超えることができないこと、依頼者の申し出によりこれを更新するときも更新のときから3か月を超えないこと。
(2)仲介業者は1週間に1回以上依頼者に業務の処理状況を報告すること。
(3)媒介契約締結の日から5日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録することなどを義務づけている。
多くの仲介業者はこの専属専任媒介契約の締結を勧めてきます。
依頼主にとって、次のようなメリットがあります。
- 不動産会社からの報告頻度が最も高く設定されているので、売主が販売状況を把握しやすい。
- 契約を結んだ不動産会社でしか仲介できないため、専任よりも広告費用を掛けるなど、積極的な営業活動が期待できる。
一方で、デメリットについては専任媒介契約同様ですが、加えて、自分で買い手を見つけても不動産会社を介さずに売ることはできないといった特有のデメリットもあります。
なお、複数社に査定を依頼して、「この会社なら」「この営業マンなら」と任せられる人に出会えばこの契約をすることが良いと思いますし、実際に多くの依頼者は専属専任媒介契約を仲介業者と結んでいるという現状があります。
物件の囲い込み・不正操作リスク
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、仲介業者に登録している会員(特定エリアの物件希望者)を購入希望者として早々に依頼者に紹介することがあります(両手仲介)。
この際、物件の囲い込みを行うことがありますので最大の注意が必要です。
つまり、他の不動産業者にお客さんを取られないように意図的に売買情報を表に出さなかったり、十分な営業活動をしないことを指します。
たとえ購入希望の問い合わせがあったとしても「交渉中・商談中」などと偽り断ってしまうことがあります。
一見してリスクは無いように感じるかもしれませんが、弊害として表れるのは価格の不正操作です。
両手仲介の場合は仲介業者にしてみれば、依頼者と購入希望者の両方から契約が成立した場合に仲介手数料が得られるため、他の不動産会社に購入希望者を取られる前に、両方の金額の歩み寄りを試みて、なんとか成約させたいという意向が働きます。
そのため、仲介業者は依頼者に値下げさせて早々に契約を結ばせようとあの手この手で値下げを勧告してきます。