政府は新型コロナウイルス(COVID-19)対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、令和2年4月16日に開いた対策本部で東京都など7つの都府県以外でも感染が広がっていることから、5月6日までの期間、対象地域を全国に拡大することを正式に決めました。
安倍総理大臣は「不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することを絶対に避けるようお願いする」と述べるなど、全ての国民に対し不要不急の移動を自粛するよう呼び掛けました。
国内において感染者が1万人を優に超え、猛威を振るう新型コロナウイルスは当然、住宅業界にも暗い影を落としています。
本記事では新型コロナウイルスとセキスイハイムの現状について紹介します。
住宅展示場の完全予約制
セキスイハイムは全国に展示場を展開しています。休業をしているかどうかは個別の展示場にお尋ねいただくのが間違いありませんが、見学する際は完全予約制となっている点に注意が必要です。
つまり、感染防止のために1組限定での見学を行っているため、予約をせずに展示場を訪問した場合は見学ができない可能性があります。
不要不急の外出自粛要請が出されている中で住宅展示場を訪問する人がどれくらいいるか分かりませんが、ある展示場のスタッフに尋ねたところ1日に1組も来場しない日が続いているとのことで閑古鳥が鳴く寂しい状況のようです。
通常ならイベント尽くしで書き入れ時であるGWも訪問客は見込めないことが予想されます。
セキスイハイム社員の感染拡大
セキスイハイム社員の感染も発表されています。
当社従業員1名(大分支店勤務内勤スタッフ:大分県大分市)が新型コロナウイルスに感染していることが4月16日判明いたしました。
4月12日に第2報でお知らせいたしました、本社勤務従業員2名(本社勤務地:福岡市中央区高砂)とあわせ、
計3名の従業員の感染を確認しております。(4月16日時点)
第2報でお知らせしました2名の従業員と同じく、所轄保健所との連携により適切な対応を行ってまいります。この度は、複数の感染者が発生し、お客様、お取引先様、関係者の皆様にご心配、ご迷惑をおかけすることとなり、心よりお詫び申し上げます。
引き続きお客様、お取引先様、関係者の皆様、従業員の安全を第一に、保健所等と連携し、感染拡大防止に努めてまいります。セキスイハイム九州株式会社
本社勤務の社員のようですが、外構工事担当やインテリア担当社員も施主との打合せ以外は内勤をしていますから、一般の訪問客や施主等と打合せをする際にも感染症対策が求められます。
また、濃厚接触が疑われる社員は保健所の指示により自宅待機を命ぜられるため、例えばインテリア担当や管理担当と打合せの予約をしていた場合でも流れるケースも当然ながら生じます。
そうすると、打合せで決める予定のものが延期になり、工事や納期にも遅延が生じる恐れが出てきます。
工場見学会の開催休止
東京セキスイハイム株式会社の「工場見学会」専用ページには以下の記載がありました。
国内のコロナウィルスの感染状況により、次回の開催予定は未定となっております。ご了承ください。
セキスイハイム中四国株式会社も同様に以下の記載がありました。
このたびの新型コロナウィルスの状況を受け、
お客様およびスタッフの健康と安全を最優先に考慮し、
2020年4月19日(日)開催予定の
工場見学会を中止させていただくこととなりました。
セキスイハイム東海も同様に以下の記載がありました。
新型コロナウィルス感染拡大を受け、
次回の開催予定は未定となっております。
ご了承ください。
7月21日(日)開催決定!参加無料・昼食付の楽しいイベントです。是非ご参加ください。…
リンク先:セキスイハイム東海
設備の納期遅れ
セキスイハイム自社製品の場合には納期の遅れなど生じていないとのことです。
しかし、住宅設備メーカーから取り寄せなければならない場合には、そのメーカーの稼働状況に多く苦影響を受けるようです。生産ラインがストップしている場合で、在庫もなければ納入時期が遅れるため、当然ながら工期にも遅れが生じます。
リクシル、TOTO、パナソニック、タカラスタンダード等といったメーカーについても国内外の部品供給会社からの部品供給に遅延が生じている旨、また、一部新規受注を停止している旨が各社ホームページに掲載されています。
部品を国内で生産している場合と国外から供給している場合とで、感染拡大の状況が異なるため違いがあるかもしれませんが、中国工場やアジア諸国の工場から供給を受ける場合には部品が届かないために組立ができず完成品を納入できないといった問題も生じているようです。
リンク先:リクシル
工期の遅れ、運送業者・工務店等の関係業者の休業
セキスイハイムは工場で家のほとんどを完成させます。工場で完成させたユニットを現地に運搬するのですが、ユニットを現地まで輸送する運送業者の稼働状況も問題となってきます。
また、内装工事を請け負う工務店やクロス(壁紙)施工業者、外構工事を請け負う専門業者など家一軒を完成させるまでには多岐にわたる関係業者の協力が必要です。
引き渡しまでのスケジュールを立てていても一部の業者で遅れが生じてしまえば引き渡しが遅延する可能性が高いため、計画の立て直しを迫られるケースが多いと考えられます。
なお、大和ハウス工業4月17日に新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の緊急事態宣言を受けて、全国の施工現場を5月10日まで可能な限り休工すると発表しました。
また、4月18日~5月6日までの間に全国229カ所のモデルハウスを閉鎖し、新規の来客を受け付けない方針です。
休工については施主の理解が前提となるものの、全国の事業所を一時閉鎖として、従業員は原則在宅勤務とするようです。当然ながらモデルハウスの閉鎖も、自治体の道府県の休業要請を待たず全国に拡大するとのことです。
感染者が拡大し続ける現状を考えると、やむを得ない措置なのでしょうが、人生の大きなライフイベントである家づくりの計画見直しとなる施主にも大きな影響があるのは必至です。
特に旧居が賃貸であればいいのですが、旧居を売却する予定で新築工事をしていたケースでは旧居を売却した後に賃貸に引っ越さなければならないなど予想外の費用が掛かってしまいます。
官公庁の業務縮小による影響
家を建てる上では建築確認申請や不動産登記、抵当権設定など様々な手続が必要となります。
平常時であれば相当日数で手続が完了するところですが、新型コロナウイルスの感染症拡大防止のために官公庁の窓口時間を縮小したり、業務縮小により職員の数を半減させている役所も多いです。
そうすると、通常よりも事務処理に倍以上の日数が掛かることも十分想定しておかなければなりません。
これは官公庁だけの話ではなく、住宅ローン融資を行う銀行についても同様だと思いますので、相当日数が掛かることを念頭に置く方が賢明です。
最後に
新型コロナウイルスの終息には相当日数が必要だと言われています。アメリカで新型コロナウイルスの感染が最も深刻なニューヨーク州のクオモ知事は「終息には1年半かかる」という見方を示しています。
緊急事態宣言を受けて当面の期限である5月6日以降の感染者数の拡大状況がその後の経済活動にも影響を及ぼすことが必至です。
人生の最大イベントであるマイホーム新築も暗礁に乗り上げて不安な毎日を過ごされている方も多いと思いますが、自分の力ではどうしようもない状況です。
筆者自身の家づくりの反省は、もっと時間を掛けて様々な建築実例やインテリアを調べればよかった、こんなアイデアがあれば自宅に採用したかったというものです。
家づくりは時間とお金との戦いですから、視野が知らず知らずのうちに狭くなってしまいます。後になって後悔することも多いので、インテリアの画像を見たり、マイホームブログを参考にしたりと時間を掛けて調べることが非常に有益だと思います。
ですから、この機会に立ち止まって計画を見直したり、インテリア内装工事や外構工事のイメージを建築実例やネットの画像などからブラッシュアップするといった前向きな取り組みをされてプラスに転換してみてはいかがでしょうか。
家づくりのヒントになる面白いブログがいっぱいあります。