住宅ローン、返済負担率

住宅ローンの返済負担率・年収負担率、計算式や目安、理想の割合を解説!

注意点

手取り年収での算定

返済負担率でローンの借入額を計算する際には、

必ず手取り年収で計算しましょう。

銀行が考えている融資可能額が借主の考える返済可能額よりも多くなることがあり、まさに額面年収で算出するケースではこの乖離が起きやすいのです。

特に上場企業(大企業)のサラリーマンや公務員は、審査面での条件が良いため、銀行側も多く借りられてしまうために注意が必要です。

条件の良い人の額面に対する返済負担率は40%程度まで承認されるケースもあり、銀行側も「貸したい」状況、借主も予算超過で「出来るだけ多く借りたい」という上方面での融資額のマッチングが起きがちです。

そこで、額面年収と手取り年収で返済負担率40%を算定しました。

額面年収と手取り年収の算定

額面年収と手取り年収の算定

上記の額面年収800万円(手取り600万円)のケース

  • 額面年収に対する返済負担率が40%の場合

年収800万円×40%=320万円

320万円÷12=月換算26万円の支払

※320万円÷手取り年収600万円×100=53.3%

 

  • 手取り年収に対する返済負担率が40%の場合

手取り年収600万円×40%=240万円

240万円÷12=月換算20万円の支払

 

額面年収を基に算定した場合、手取り年収ベース(実際に銀行口座に振り込まれる金額)で返済負担率が53%を越え、手取り年収の半分以上が住宅ローンの返済に充てられることになるのです。

そうなれば、ボーナス払い併用のケースだと、せっかくのボーナスもほぼ住宅ローンに回るため、生活にゆとりがなく、貯金もままならない事態に陥いります。

年収負担率、借り過ぎてボーナスなし
※借り過ぎ注意

 

額面と手取りだと上記のように6万円の差額、年間だと72万円の違いが生じます。

これだけの金額を約25年~35年払い続けなければなりません。

額面年収での返済負担率を算定するのは一般的であり、この差額を負担している方は不況に伴う年収ダウンで苦しい思いをすることが多いです。

なお、住宅に関する費用は住宅ローンだけではありません。

 

次に述べる固定資産税等の存在もありますから、額面年収での算定は非常に高い破綻リスクを孕んだ算定方法なのです。

 

固定資産税・修繕積立金等 

また、忘れがちなのは固定資産税や分譲マンションの場合の修繕積立金や管理費の存在です。

住宅ローンの返済にばかり目が行きがちですが、これらも住宅に関する固定費です。

不動産を所有する以上、毎年納税しなければなりませんし、金額も決して安いものではないためので、計画的に準備する必要があります。

 

固定資産税額は「固定資産税評価額×1.4%」で、都市計画税額は「固定資産税評価額×最高0.3%」で求めます。

固定資産税評価額とは、住んでいる自治体が独自に調査して決定するもので、立地・形状・築年数・設備、面積等により評価額が異なります。

一般的な新築戸建ての固定資産税の相場は10〜14万円(軽減特例を考慮)ですので、月換算1万円前後が住宅ローンの返済額に上乗せされます。

分譲マンションにかかる管理費・修繕積立金はマンションの住民で構成する管理組合によって異なりますが、こちらも毎月1万円以上の支出を予定した方が良いと思います。

 

最後に

住宅ローンは史上最低金利を更新し続けており、非常に借りやすい状況にあります。

しかし、返済負担率を基にいくら借りられるかではなく、いくらまでなら無理なく返済を継続できるかを考える必要があります。

返済期間は1年、2年ではありません。

今後、給料が右肩上がりで上がっていくことが確約されているのであれば安心ですが、新型コロナウイルスのようなことや災害が起きれば、経済は大打撃を受けて給料、ボーナスは右肩下がり、住宅ローンの返済は間違いなく家計を圧迫します。

また、住宅関連費は住宅ローンだけではありません。固定資産税は不動産を所有する限り納め続けなければなりませんし、新築の減税措置がなくなれば納付額は増えますので、その点も注意が必要です。